今回は私(小松)の経験から、あくまで個人的な意見を述べます。
施設へ勤務してまだ間もない頃、脳梗塞後遺症の方を担当しました。
重度の麻痺のため、左半身と腰周辺に、常に痛みを抱えていました。
文献や先行研究のとおりにリハビリを行っても回復は見込めず、本当にもうしわけなく感じていました。
数週間後、私は利用者さんに謝りました。
「私の力では機能改善させることも痛みを軽減させることもできず、本当に申し訳ございません」と。
そうするとこの利用者は
『こうして話を聞いてくれるだけで痛みが和らぐんです。本当に助かっています』と語ってくれました。
私は涙でいっぱいになるとともに、こんな未熟な私でも役に立っているのかもしれないと勇気づけられたのを覚えています。
利用者が私を気遣ってやさしく語ってくれたのかもしれませんが、この出来事はこれまでの価値観を変えるきっかけとなりました。
医学的な知識や技術ではどうにもならないことがある。
けれども、人の心や人生観・価値観を支えるプロセスは、身体機能へも影響を与えると。
それからは、医療系の勉強だけでなく、ヒーリングやツボ療法、心理学なども学び、使えるものはなんでも受け入れようと思い現在に至っています。
「人は死ぬ時まで成長する」と言われています。
たとえどんな状況にあろうとも、必ず人生には最期まで意味がある、ということだと思います。
高齢期リハビリテーションに関わる者として、いまできることを精一杯とりくむ姿勢が大切だと感じています。
(作業療法士 小松 顕)
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o (木曜日, 07 4月 2016 11:34)
仕事は、しているのではなく、させていただいていると、いつか気づく時が来ますね。特に新人の時や初めて間もないころは、失敗がつきものです。そのときに、このようなケースで、良いめぐりあわせだと思えるかどうかですね。いかされている(生・活)どちらの漢字も使えるし、合わせると生活になりますね!